3DCG制作やVFX、スキャンデータ処理の現場で注目を集めているのが、Meta(旧Facebook)が開発した SAM3D(Segment Anything Model 3D)。
名前の通り、「あらゆるものを切り出す」ことを目的にしたセグメンテーションモデルで、従来の2D版 SAM を3D領域に拡張した最新技術です。
この記事では、SAM3Dとは?何ができるの?どんな用途で使えるの? を、CGアーティストにも分かりやすく解説します。
1. SAM3Dとは?
SAM3D(Segment Anything Model 3D)は、
3Dデータ(点群 / メッシュ / 深度画像)を対象にした汎用セグメンテーションAIです。
従来版の SAM は写真や画像に対して「どこでも自由に切り抜ける」モデルでしたが、SAM3D はその3D版。
具体的には、
- 点群(LiDARスキャン、フォトグラメトリの中間データ)
- メッシュモデル
- RGB-D(深度付き画像)
などあらゆる 3D フォーマットに対して、ポチッとクリックするだけで対象物を自動で切り分けられるのが最大の特徴です。
2. SAM3Dでできること
① ワンクリックで3Dオブジェクトを自動抽出
点群の中から、車・人・建物など特定の形状を自動マスク生成。
地味に面倒な「手動クリーンアップ」作業を大幅に短縮できます。
② 部分的な3D編集が圧倒的に楽になる
不要な樹木、電柱、背景ノイズなどを数秒で切り出し/削除できるため、
- VFX向けの3D背景スキャン処理
- CGアセット化
- デジタルツイン向けデータ整備
などで非常に強力。
③ 3D+2Dのハイブリッド理解
SAM3DはRGB情報(2D)と深度(3D)を統合して判断するため、
従来の「点群ベースのAI」よりもセグメント精度が高いのもポイント。
④ プロンプト(クリック / テキスト)での直感操作
SAMシリーズ特有の “入力の自由度の高さ” が3Dでも健在。
- クリック
- ボックス選択
- テキストプロンプト(例:「car」→車だけ抽出)
など、直感的な操作が可能です。
3. SAM3Dが注目されている理由
圧倒的な汎用性
特定の業界に特化したAIではなく、
「何にでも使える3Dセグメンター」という汎用モデル。
画像の SAM が一気に普及したように、
3D領域でも同じ波が来ると予想されています。
3Dデータの需要が爆増している
2024〜2025年にかけ、
- VFX・映画制作
- メタバース
- 建設・土木
- 自動運転
- ロボティクス
- XR(VR/AR)
などで 3D データ処理の需要が急増。
そこに「作業を爆速化できるツール」としてSAM3Dがフィットしました。
ゲーム・映像・産業の全分野で使える
3Dモデルは業界ごとのフォーマット差が激しいですが、
SAM3Dは 点群 / メッシュ / 深度 のどれにも対応するため、
どのワークフローにも入れやすいという利点があります。
4. SAM3Dの仕組み(ざっくり解説)
難しい数式は抜きにして、SAM3Dは以下の組み合わせで動作します:
● ① 画像特徴(2D)
Vision Transformer(ViT)により画像の特徴を抽出。
2DのSAMと同等レベルの知識を活用。
● ② 3D特徴(深度 / 点群)
新しい3D Encoderが空間構造を理解し、
点群の密度や距離情報を学習。
● ③ 2D + 3D の統合
2Dと3Dを同時に使うことで、
従来の点群AIより精度が高いセグメントを生成。
5. SAM3Dの活用例(CGアーティスト向け)
あなたのように Maya・Blender や Unreal などを使うクリエイターにとって SAM3D は実務でかなり使えます。
具体例を紹介します。
● ① フォトグラメトリでの不要要素の削除
スキャンデータに必ず入ってしまう
などの除去作業がボタン1つで完了。
● ② VFX背景データのクリーンアップ
映画・CM制作で扱う点群スキャンを
「地面」「建物」「車」「樹木」などに自動分類。
● ③ Unreal Engineでのシーン分離
スキャンした現場データをそのまま UE に流す際、
オブジェクト単位で整理するのが簡単になる。
● ④ 3Dアノテーションにも使える
学習データのラベリング作業の手間が激減。
6. SAM3Dを使う上での注意点
SAM3Dは便利ですが、いくつかの弱点もあります。
● 大規模点群は重くなる
数千万〜億点の点群はGPUメモリを大量消費。
→ 下処理(ダウンサンプリング)が必要。
● メッシュの穴やノイズには弱い
生点群よりメッシュの方が精度が安定。
● 商用利用はライセンス確認が必要
Metaのライセンスは基本的にオープンですが、
商用ツールで組み込む場合は要チェック。
● 完全自動ではなく“半自動”
クリックやヒント入力が必要なケースも多い。
7. まとめ:SAM3Dは3D制作の「Photoshopの選択ツール」になり得る
SAM3Dは、画像編集で言う 「自動選択ツール」 を
3D空間に持ち込んだような強烈なモデルです。
- スキャン処理が早くなる
- CGの前処理が楽になる
- ノイズ除去が自動化される
- 自動運転・ロボットなどの産業用途でも使える
など、将来の3D制作ワークフローに大きな影響を与える技術。
今後は Blender・Maya プラグイン化 や
Unreal Engine 連携 がさらに進むと、
より身近なツールになるでしょう。
https://github.com/facebookresearch/sam-3d-body